仏教用語解説

◆法名〔その意味と歴史〕

        
   【法名と基幹運動】
    宗祖親鸞聖人は、独り仏道修行に励む清僧ではなく、山に獣を追い、海に魚
   を追うことを生業とする、即ち戒律には無縁な民衆と共に、お念仏の法によっ
   て救われてゆく生き方をされました。その生きざまの表明が「釋親鸞」の名の
   りです。
    宗祖が往生されて七百有余年、しかしながら、必ずしも私たちの宗門は宗祖
   の遺弟として、忠実な歩みを重ねてきたとは言えません。法名ひとつとっても、
   死者の名前のイメージ、戒名との混同、そして長いほど位が高いとの誤解を生
   じさせてきました。
    今、私たちは自らのたどってきた道を振り返り、慚愧の思いを抱きつつ、宗
   祖のおこころに帰るべく歩みを進めています。それを基幹運動と呼び、その一
   還として誰もが等しく「釈〇〇」の法名をいただくよう、具体的な取り組みを
   しています。
   
   【Q&A】
   Q.「法名」は生前にいただくものであると聞きましたが?
   A.そのとおりです。浄土真宗門徒として、心から阿弥陀さまを敬い、そのみ
    教えに生きることを表明する儀式を「帰敬式」と言いますが、この帰敬式に
    際して、ご門主さまより「おかみそり」を受け、いただくのが「法名」です。
     「法名」は、仏さまのみ教えに生きることを決意した人に与えられるもの
    であり、仏弟子であることを表す名前です。
     浄土真宗の葬儀においては、「法名」が〔個人がそれをいただいていてお
    られなかった場合は、所属寺の住職がおつけして〕荘厳壇に置かれますので、
    法名=死者の名前と理解しがちですが、「法名」は、決して死者につけられ
    る名前ではありません。
     私たちは、浄土真宗門徒としての自覚を深める意味でも、生前にできるだ
    け早い機会に「帰敬式」を受けたいものです。
   
   Q.「法名」の起りを教えてください。
   A.お釈迦さま在世の頃は、出家剃髪して法衣を着すれば皆等しく沙門釈子(
    この出家者は釈迦の子どもという意)と呼ばれていました。
     現在のような形式の「法名」が生れたのは、仏教が中国に伝えられてから
    です。中国では実名の他に別名(字《あざな》、諱《いみな》等)を持つ習
    慣があり、それが仏教に影響を与えたものと思われます。
     さらに中国では、最初、出家した者の多くは、師の姓をとって自己の姓と
    していましたが、東晋時代に、道安という僧は、仏弟子はお釈迦さまのお心
    を体して皆平等に「釋」をもって姓とすべきであると唱えて、自ら釋道安と
    名のりました。現在、私たちの宗門で法名を「釋〇〇」としているのは、こ
    こに由来します。
   
   Q.「法名」と「戒名」は違うのでしょうか?
   A.違います。ここをハッキリと理解しないと、仏事はどの宗派でも同じもの
    と思ったり、字数が多いほど値打ちがあると誤解したりするのです。
     浄土真宗では、戒名とは言いません。戒名は、厳格な規律(戒律)を守っ
    て仏道修行する人々につけられる名前であり、阿弥陀仏の救いの法に信順し
    て生きる私たちがいただく名前は「法名」です。従って、「法名」には、修
    行の経歴を表す道号(四字や六字の戒名)や、修行生活の形態を表す位号(
    信士・信女・居士・大姉等)はありません。「法名」は「釋〇〇」というた
    だそれだけです。
     「法名」は、過去帳に記載します。
   
   ☆★☆★ 忘れないで! 「法名」基礎知識 ☆★☆★
   ●「法名」は、「釋〇〇」の二字。
   ●「法名」は、仏弟子であることを表す名前。
   ●「法名」は、死者の名前ではなく、生前にいただくべきもの。
   ●「法名」は、本来「帰敬式」を受式して、ご門主さまからいただくもの。
   ●「法名」に道号や位号を付けないのは、戒を守る修行者ではないから。
   ●「釋」の字は、お釈迦さまの弟子という意味。