週刊みんなの法話

■何の為に生まれて 何をして生きるのか  小池秀章〔京都女子高等学校教諭〕
                           (みほとけとともに/本願寺の時間2004(H16)11月放送)

        
    なんのために生まれて
    なにをして生きるのか
    こたえられないなんて
    そんなのいやだ!
    今を生きることで
    熱いこころ燃える
    だから君はいくんだ
    ほほえんで
    そうだうれしいんだ
    生きるよろこび
    たとえ胸の傷がいたんでも
    ああアンパンマン
    やさしい君は
    いけ! みんなの夢まもるため    (作詞 やなせ・たかし)
   
    これは、アンパンマンのマーチの一番の歌詞です。アンパンマンをご存知でし
   ょうか? 頭がアンパンのアニメのキャラクターで、小さな子どもたちには、大
   人気です。3歳になる私の子どもは、アンパンマンがテレビで放送されるのを楽
   しみにしていて、毎週欠かさず見ています。しかも、ビデオに録って、毎日、2
   回、3回と繰り返して見るほどです。そんな子ども向けのアニメの主題歌「アン
   パンマンのマーチ」の歌詞に、「なんのために生まれてなにをして生きるのか 
   こたえられないなんて そんなのはいやだ」とあるのです。
    皆さんは、「何の為に生まれて、何をして生きるのか」答えられますか? こ
   れは、大変難しい問題で、そう簡単に答えられる問いではありません。
    大谷光真ご門主さまは、『朝に紅顔ありて』(角川書店発行)という書物の最
   初の方で「人はなぜ生きるのでしょう」という問いに対して、「その答えを探す
   ために生きるのです」「答えを急がず『生きる』ことの意味をともに考えて参り
   ましょう」と述べておられます。.
    ご門主さまでも、答えは持っておられないのでしょうか。ご門主さまは、昨年
   (2003年)の学生対象の降誕会の中で「何の為に生まれてきたのか。これは
   大変難しい問題でありまして、大人でもなかなか答えることができません。けれ
   ども、これは一人ひとりが考えていかなければならない問題なのでしょう。(中
   略)浄土真宗のみ教えに遇う為に生まれてきた。そう受け取られたら幸せなんで
   しょうけれど・・・」と少し控え目におっしゃったのが、私の心に強く残ってい
   ます。ご門主さま自身は、一つの答えを出しておられるのです。
    ところで、お釈迦さまは何のためにお生まれになったのでしょう? 親鸞聖人
   のお作りになった「お正信偈」の中に、「如来所以興出世 唯説弥陀本願海」(
   如来、世に興出したまふゆゑは、ただ弥陀の本願海を説かんとなり)とあります。
   「お釈迦さまが、この世にお出ましになった理由は、阿弥陀如来さまのご本願を
   説く為である」というのです。お釈迦さまは、本願を説く為に生まれてきた。私
   は、本願の遇う為に生まれてきた。そうなれば、ぴったりあうのです。そして、
   そう言い切れる世界があるのです。
    浄土真宗のみ教え・お念仏に生きる者にとって、答えはすでにあるのです。「
   何の為に生まれてきたのか」それは、「本願に遇う為、み教えに遇う為に生まれ
   てきたのです」分かりにくければ、「真実に遇う為に生まれてきた」と受け取っ
   てもいいでしょう。ただ、その答えが私のものになるかどうかが問題なのです。
   学校の講義だと、理屈をおって理解すれば自分のものになりますが、み教えを聞
   くということは、生活の中・人生の中でうなずけた時、初めて自分のものになる
   のです。
    今、「み教えに遇う為に生まれてきた」と言いましたが、本当は「み教えに出
   遇うことによって、この世に生まれてきた意味と、生きる意味が見えてくる」と
   言った方がいいのかもしれません。「何のために生まれてきたのか」という問い
   は、「何の為に生きているのか」という「生きる意味」を見出せないときに起っ
   てきます。どんなにお金があろうと、どんなに地位や名誉があろうと、人は年を
   とって、病気になって、死んでいきます。そんな人生にどんな意味が見出せるか
   が問題なのです。年をとること、病気になること、死ぬことが、不幸なこと、ダ
   メなことだったら、人間は、皆、不幸に向って生きていることになります。そん
   な人生は大変空しいものです。
    「人生は空しい」という人がいますが、それは、人生が空しいのではなく、そ
   の人が空しい人生しか持っていないだけなのです。年を重ねる中で、そして、病
   などさまざまな出来事を縁として、人生の真実に遇わせていただく。死もまた空
   しい亡びではなく、限り無いいのちの世界に生まれさせていただく機縁であると、
   人生のあらゆることに尊い意味を見出す。それが仏さまの智慧の働きなのです。
    「私は何のために生まれてきたのか」それは「み教えに遇わせていただくため
   だ」こう言い切れる世界があるのです。
    しっかりと、み教えを聞かせていただきましょう。
   
  ◎西本願寺の時間
   山口放送の放送時間:毎週 日曜日 朝6:00(山口《愛媛・島根・広島一部》)
  ◎WEB−ラジオ   http://webradio.hongwanji.or.jp
   (Webラジオ「みほとけとともに」) これまでの放送分はインターネットで!