仏事いろいろ

■ローソクの火はなぜつける?――灯明の意味  〔本願寺出版社「仏事のイロハ」より)

        
    お荘厳の基本となるのが三具足ですが、それでは、これらの仏具を用いてロ
   ーソクに火をつけ(点燭=てんしょく)、お花を立て、お香をくべるのは一体
   どんな意味があるのでしょうか。
    まずは、ローソクの火について味わってみましょう。
    ローソクに火をつけるのはなぜか?ある人は「単にお仏壇の中を明るくする
   ため」と思っているかも知れません。また、もっと現実的に「お経を読む時の
   明かり」と考えるかも知れません。
    しかし、それでは肝心なことが抜けてしまっています。というのも、お荘厳
   とはご本尊の阿弥陀如来を美しくお飾りすることでした。しかも、単なる飾り
   つけではありません。阿弥陀如来が私に向けて下さっているお心を深く味わう
   上でのお飾りなのです。
    ですから、ローソクの火も、確かに私がつけるのですが、ついた火は阿弥陀
   如来のお徳として味わうことが大切になってきます。
    ローソクの火には二つの面があります。一つは“光”です。周囲を明るく照
   らすその光は、阿弥陀如来の智慧を象徴すると言われています。心の奥底まで
   も知り尽くし、どろどろとした迷いの闇を隈なく照らして真実に向わしめる智
   慧の光明です。
    もう一面は“熱”で、私はこれを阿弥陀如来の慈悲を表わすと味わっていま
   す。熱が氷を解かすように、お慈悲の“温もり”が私の固く閉ざした心を解き
   ほぐして下さいます。またその炎からも、休むことなく働きかけて下さってい
   る阿弥陀如来のお慈悲の心が伝わってくるでしょう。
    このように味わってきますと、ローソクの火がこれまで以上に輝いてくるの
   ではありませんか。
    なお、ローソクの色は、一般に平常や悲しみの時は「白」、喜びの時は「赤」
   を用います。また蛇足ながら、お仏壇のためには洋ローソクよりは和ローソク
   の方が、煤(すす)の性質上、よいとのことです。